美容室・サロンのM&Aは「店舗と設備を引き渡せば終わり」と思われがちですが、実際にはスタイリストの雇用、顧客カルテの扱い、美容所の開設者としての地位の承継など、サロン特有の確認事項が数多くあります。ここでは、譲渡を検討しはじめた段階で押さえておきたいポイントを、実務の流れに沿ってチェックリストの形で整理します。
買い手が見ているのは「店舗」ではなく「続いていく売上」
サロンの譲渡というと、内装や設備、立地の価値で価格が決まるとイメージされる方が多いのですが、買い手が最も気にしているのは「引き継いだあとも今の売上が続くかどうか」です。設備は買い替えられますが、顧客とスタッフは買い替えられないからです。
実際の面談で買い手からよく質問されるのは、次のような点です。
- スタッフの構成と定着状況:在籍年数、雇用形態(正社員・業務委託)、直近の退職者の有無
- 指名売上の分散:オーナー個人の指名に売上が集中していないか
- 顧客の再来率とカルテの整備状況:新規に頼らず回っているか
- 賃貸借契約の残存期間と条件:家賃、更新時期、原状回復の範囲
- 客単価とメニュー・物販の構成:値上げ余地があるか
逆にいえば、オーナーが現場から少し離れても売上が落ちない状態をつくれているサロンは、規模が小さくても評価されやすいということです。
譲渡前に確認したい5つのチェックポイント
1. スタイリストの雇用はどう引き継がれるか
会社ごと譲渡する株式譲渡であれば、雇用契約はそのまま継続します。一方、店舗単位で譲る事業譲渡では、雇用契約は自動的には移らず、スタッフ一人ひとりの同意が必要です。誰にいつ伝えるかは、譲渡の成否そのものを左右します。基本的には契約が固まるまで社内に伝えないケースが多いのですが、キーとなるスタイリストにだけは先に相談したい、という判断もあり得ます。ここは買い手候補と相談しながら決めるところです。
2. 顧客カルテと個人情報の扱い
顧客カルテはサロンの資産そのものですが、同時に個人情報でもあります。譲渡にあたって顧客情報をどの範囲で引き継ぐのか、告知や同意の手当てが必要かを、契約書に落とし込む前に整理しておきましょう。紙のカルテしかない、予約システムに履歴が入っていないという場合は、譲渡活動を始める前に整えておくだけでも評価が変わります。
3. 美容所の開設者の地位の承継
従来、事業譲渡でサロンを引き継ぐ場合は、いったん廃止の届出をして新たに開設の手続きをやり直す必要がありました。これが令和5年法律第52号による改正で見直され、令和5年12月13日からは事業譲渡でも開設者の地位を承継できるようになっています。ただし手続きの流れや必要書類は所轄の保健所によって案内が異なりますので、譲渡日を決める前に確認しておくと安心です。
4. 店舗の賃貸借契約・内装・リース
事業譲渡では、賃貸借契約の引き継ぎに貸主の承諾が必要です。承諾が得られるかどうかは、実務上いちばん時間のかかる論点になりがちです。あわせて、シャンプー台やチェアがリースになっていないか、内装造作の所有区分がどうなっているか、原状回復義務がどちらに残るのかも確認しておきましょう。株式譲渡の場合でも、契約に支配権の変更に関する条項が入っていれば通知や承諾が必要になります。
5. 予約システム・SNS・口コミアカウント
予約サイトのアカウント、店舗のSNS、口コミの蓄積は、新規集客の要でありながら譲渡対象から漏れやすい項目です。アカウントの名義がオーナー個人になっている場合も多いため、何を引き渡すのかを一覧にして契約書に明記しておきます。
株式譲渡と事業譲渡、サロンではどちらを選ぶか
1法人1店舗で、オーナーが引退して会社ごと手放したいのであれば株式譲渡、複数店舗のうち一部だけを譲りたい、あるいは個人事業として営んできたのであれば事業譲渡が基本の選択肢になります。主な違いは次のとおりです。
項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
譲渡の対象 | 会社の株式(契約・許認可も会社に紐づいたまま) | 店舗単位の資産・契約を個別に移転 |
スタッフの雇用 | 原則そのまま継続 | 一人ひとりの同意が必要 |
店舗の賃貸借 | 原則そのまま(支配権変更の条項に注意) | 貸主の承諾が必要 |
美容所の開設者 | 会社のまま変わらない | 令和5年12月13日から承継が可能 |
簿外債務のリスク | 買い手が引き継ぐ | 原則として引き継がない |
売り手にかかる税金 | 株式の譲渡益に20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) | まず法人に課税され、個人に資金を移す際にあらためて課税される |
向いているケース | 1法人1店舗、会社ごと引退したい | 複数店舗の一部だけ譲りたい、個人事業 |
買い手は簿外債務を避けられる事業譲渡を、売り手は手取りの残りやすい株式譲渡を望みやすく、ここは交渉になります。どちらが有利かは決算内容と店舗数によって変わりますので、早い段階で整理しておくとよいでしょう。
価格はどう決まるのか
中小規模のサロンでは、年買法(年倍法)と呼ばれる考え方がよく使われます。営業利益に、オーナー個人の経費や過大な役員報酬を戻して「本来の利益」を出し、それに2〜5年分を掛けて算出する方法です。スタッフが定着していて、オーナー不在でも回る体制ができているほど、この年数は伸びやすくなります。なお、これに時価純資産(現預金や設備から負債を差し引いた分)が加算される形で最終的な譲渡価格が話し合われます。
売上規模が小さい、直近が赤字といった場合でも、立地や顧客基盤、スタッフの技術が評価されて成約に至るケースはあります。数字だけで諦めてしまう前に、一度整理してみることをおすすめします。
スイスイM&Aの場合
株式会社翠水が運営するスイスイM&Aは、中小企業庁の認定を受けたM&A支援機関として、中小M&Aガイドライン(第3版)の遵守を宣言しています。美容室・サロンや飲食店など、店舗ビジネスの小規模なご譲渡を得意としています。
- 相談料・着手金・月額報酬・中間金はすべて0円。成約するまで費用はいただきません
- 最低報酬額なし。譲渡価格をベースに、下記の料率のみを成功報酬としていただきます
- 最速2ヶ月・平均4ヶ月でのご成約
- お客様1人に担当2名以上の体制で、連絡が止まらないようにしています
譲渡価格 | 料率 |
|---|---|
500万円以下 | 15% |
500万円超〜5,000万円以下 | 8% |
5,000万円超〜1億円以下 | 6% |
1億円超〜5億円以下 | 3% |
5億円超 | 2.5% |
まずは無料相談から
「うちのサロンでも買い手がつくのだろうか」「スタッフに知られずに進められるのか」といった段階のご相談で構いません。ご相談はオンラインまたはお電話で承っており、必要に応じて当社からお客様のもとへお伺いします。売却を決めていない段階でも、いまの状態でいくらくらいになるのか、何を整えておけば評価が上がるのかをお伝えできます。
お電話でのご相談は080-9004-1355、またはお問い合わせフォームからご連絡ください。料金の考え方や進め方の詳細は、料金ページ・ご成約までの流れ・よくあるご質問のページでもご案内しています。
